どの国が良いの?

「どの国が良いの?」と聞かれたら、

「どの国ではなく、人材個々の問題」とお答えします。

*ベトナム・中国・フィリピン・インドネシア・タイ・ミャンマー
 カンボジア・モンゴル・ネパール・スリランカ・ラオス、
 これまで11か国、総勢4000名近い技能実習生と関わってきて、
 100件以上の監理団体とお付き合いをしてきた経験者が感じる一つの結論です。

入国時の語学能力で良し悪しを判断されたい方は、
面接時の監理団体・実習実施機関の判断、
送り出し機関側の教育能力が大きく影響し、
技能実習生個人の性質で良し悪しを判断されたい方は、
面接内容の手法が問われます。

とは言え、現時点で、1から監理団体を設立し、
新たな送り出し機関と契約する場合、現段階ならば、
どこの国からの受け入れを進めるか?

 

まず、人材が既に枯渇状況に入っており、
技能実習生に相応しくない性質の人材の入国が進むベトナムは敬遠すると思います。
ただし、キチンとした人材を集められ、教育でき、送り出し続けている送り出し機関もありますし、高騰を続ける手取り額など給与面を捻出できるのであれば、良い意味でも悪い意味でも理屈や打算がわかる勤勉なベトナム人は、他国と相対的にみても比較的に生産性の向上や学習効果を求められる人材です。

ではどこの国?・・・

 

インドネシアは素直で従順な方も多く、学習意欲も決して低くはありません。
ただし、精神的にそれほど強くなかったり、イスラム国であるという偏見的ストレスも実際に根強く、シェア的にも決して少なくはないのですが、某大手の寡占が続く歴史的背景もあり、他の民間が少しずつシェアを伸ばしている状況です。

 

フィリピンの人材は親しみやすく、英語にも精通し、
出稼ぎ国としても有名ですので、お勧めできます。
しかし送り出し機関のフォローにはベトナム・中国ほど期待は持てず、
また親しみやすさの反面、規律を徹底重視したいような実習実施機関にはお勧めできません。
また、相対的に他国と比べてみても国独特のルールもかなりうるさく、手続きに様々なストレスを覚悟すべきです。

 

タイの人材も穏やかで比較的良い人材が多いと思います。
しかしタイも日本同様、少子高齢化が進む国ですので、
今後の送り出しに長期的な期待は持てないと思われます。

 

近年急増のミャンマーは、
失踪・難民申請の問題が大きく取り上げられていますが、
基本的に待遇の良い実習実施機関ではあまりこのような問題は聞きません。

ミャンマー以下、新興国の技能実習生ですが、
現在は本当に優秀な人材が選抜されており、
送り出し機関も、今後の長期契約に向け、熱心に入国前講習を実践しております。

しかし、ベトナムや中国は、
日本の不条理なこの本音と建前の技能実習制度に対応するノウハウを有するのに対し、
新興国の送り出し機関の力不足は否めません。

また入国後のフォローなどもベトナム・中国に見劣りし、
今後の成長に期待すると共に、技能実習生の輩出が増加と反比例し、
優秀な人材の枯渇化も、ベトナム・中国同様に進行すると思われます。

原点回帰として中国にて良い人材を選抜できる状況が発生しています。

2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博などを機に経済発展を遂げ、
所得水準も上昇し技能実習生候補者の枯渇化と共に入国者が減少し、
ベトナム以下、他国の技能実習生へと監理団体が切り替えた経緯があります。

しかし現在の中国国内において、都市部での就職が厳しくなり、
比較的良い人材が再び出国を希望している状況があります。

縫製業は、中国人技能実習生が他国と比較しても突出しているのは有名で、
縫製業は昔も今も中国を選択している傾向がありますが、
他の業種においても、同じ漢字圏でコミュニケーションも図りやすい中国を
再び選考するのも一考ではないかと思います。

しかし、中国人技能実習生の希望する3年間の収入は
500万円以上とも言われています。

募集段階における希望額を誤魔化し、
入国後の条件がミスマッチを起こさないか十分確認する必要があります。

当然、地域別最低賃金ではなく、
日本人同等額の待遇が可能な実習実施機関にしか選択は不可能だと思います。

本来、実習実施機関の社風などを鑑みて、
監理団体側もどの国が適切か検討したいところですが、
複数国・複数の送り出し機関と契約・お付き合いをしていくことは容易ではありません。

よって実習実施機関側より送出し国の希望がある場合は、
監理団体加入前に対象国からの派遣が可能である団体か確認をする必要があります。

送出し国から見た場合、本邦の技能実習制度は、
建て前上の「出稼ぎ」制度であることは見透かされています。
技能実習生候補者も、修得したい、技術・日本語などは二の次であり、
帰国後に修得した技術を母国で発揮せず、
出稼ぎ難民として、また別の国へと渡航する人材も少なくありません。

これは、技能実習制度の職種、
実際の修得内容が単純労働と言わざるを得ない部分もありますし、
日本語は、日本以外で通用するような言語ではないことが起因している部分もあります。

この建て前を送出し国へと強要しても、
人生は本人の自由ですし、職業選択の自由もあります。

しかし、ほとんどの技能実習生は多額の経済負担を背負っての渡航ですので、
収入確保が約束されていない実習実施機関への出国は希望しません。
入国前説明と入国後の実態が違う場合、
途中帰国や失踪などの問題が発生するのは当然です。

更に技能実習生が入国前に知らされない、知ることが不可能な、
実習実施機関の「社風」・「人間関係」、
こういった部分に問題を抱える実習実施機関は、
当然その雰囲気を技能実習生も察し、
研修意欲が低下していくことも避けられません。

よって、雇用条件+社風(人間関係)などが満足できる実習実施機関でないと
技能実習生側から選ばれる「会社」ではなくなりますし、
もし経営者が人手不足を嘆いてこの制度活用に参入してきたならば、
我が身を振り返り、自社に対して、
このような問題が原因で日本人従業員の離職が加速していないか
などの確認をする必要があります。

外国人技能実習生も我々も、言葉の壁があるだけで、
「人財」であることに変わりありません。

候補者にも両親がいて、将来の夢があり、
決して日本側の計算できる働くロボットではありません。

当然、不快に思えば何かしらの行動に走りますので、上から目線ではなく、
母国を離れ来日する覚悟や勇気に寄り添う気持ちが必要になります。

このような経営感覚の実習実施機関においては、
対象国などの問題で、決断に揺れることは少ないような気がします。

コミュニケーション方法 ①

監理団体経験・実習実施機関における指導員経験・入国法定講習施設の経験より
関係する実習実施機関に指導することがあります。

これは日本側・実習実施機関側の、「日本語の勉強」です。

何を今更・・・と思うかもしれませんが、技能実習生が来日し、
実習実施機関側では「今回の技能実習生は日本語が上手だ、下手だ」
という会話をよく耳にします。

しかし多くの技能実習生は、入国前に3ヵ月前後の学習期間で、
送出し機関側が用意した、
教材1~2冊入国後の法定講習で学習した1~2冊程度の知識しか習得していません。

その中の習得した単語や文法を駆使して、
日本人とコミュニケーションを図っているだけで
教材にはない知識で日本人側よりコミュニケーションを図られた場合、
ほぼその部分は理解できていないということになります。

例えば、「とても多い」という表現。

教材には最も綺麗な日本語として、
このように「多い」状態の分量を表現する際に、
「とても」という単語を用いることが多いと思います。

また教材においては、「大変多い」と表記する教材もあるかもしれません。

熟練された教師が担当しているならば、わずかこの1つの表現方法の語彙力を
広げるために他の形容表現を指導するかもしれません。

しかし、教材内容を習得した技能実習生も、
日本人側が自然と使用する独特の口語表現を使用した場合、
頭がパニック・真っ白になる場合があり、
それが原因で前後の会話内容までも理解できないことがあります。

例:「結構多い」・「かなり多い」・「メチャメチャ多い」・「超多い」

このような表現方法を技能実習を前に使用してはいませんか?

こういった会話表現で、技能実習生は日本語が下手だ、
送出し機関・監理団体は何を指導している?というのはナンセンスです。

例えば、こういった誤解を解くために、実習実施機関には、
採用された技能実習生が使用する教材を購入していただき、
(無料で配布するとが日本側も学習しませんので)
技能実習生に関与する指導員の方々には、
入国段階で双方の誤解、混乱を回避するために、
教材にある表現方法を使用しての会話をお願いしております。

その上で、技能実習生の理解に不足が生じていると感じた際には、
監理団体へ日本語教育の指導強化を求めることも良いと思います。

こういった対応を心掛けていただけますと、
日本語習得を始めてわずか数か月の技能実習生が、
日本人ならば1歳児未満の人材が懸命な努力の上に、
現在に至っていることも理解できると思います。

コミュニケーション方法 ②

監理団体の方への希望として、昨今、

介護職種の人材のように日本語能力が在留資格条件に必要であるならば、
監理指導・相談にあたる職員の方々にも、
対象国の語学は日常会話レベル程度でも習得していただきたいと思います。

監理団体の日本人職員の方々で、ベトナム語・ミャンマー語などが
話せる方とお会いしたことはほとんどなく、
どの監理団体も母国語相談員として、
対象国の通訳者を採用されている機会が多いかと思います。
表面的な問題は無いと言えば無いのかもしれませんが、
技能実習生の本心に触れることは無い中で、
技能実習生には日本語の習得を促し、
監理団体の日本人は第三者に丸投げする。

語学習得経験の無い人材が、
監理者として候補者へ上から指導するのは無理があり、
技能実習生からの敬意・信頼を得ることは無いと思います。

技能実習生が快く・満足に実習に励んでいる段階では、
日本語での指導・相談も問題ありません。

しかし、実習継続が困難になるような問題を抱えた場合、
母国の通訳者を介しても、技能実習生の本心は掴み切れません。
通訳者も監理団体側の人材で、
今後の監理団体との人間関係・友好関係などを瞬時に察しますので、
通訳表現は慎重に言葉を選び、
感情の度合いに開きがある場合も少なくありません。
そして挙句の果てに、これだけ相談に乗ってきたのに、
途中帰国・・・失踪・・・、そんな経験はないでしょうか?

入国前の教育も、送出し機関に左右され、
入国後の監理も通訳者の能力に左右される。

技能実習生から「先生」と呼ばせ、
実際は提出書類作成のため「だけ」の中間業者のような方々に
監理団体の職員の方にはなっていただきたくないと思っております。

技能実習生が来日後に目にする日本人全てが日本の印象です。

技能実習生の中には、
監理団体の職員こそブローカーと思っている人材も少なくないと思います。

毎月、顔を合わせる監理団体職員の方々の、
日本人としての責任は重大だと思います。

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